ハンガリー風ボウル(Ungarnkopf)の章に、下の写真がある。
読者の注意を『ボウル底に見える貝殻模様のような獣爪の彫刻』 へ誘導するような説明文が付いている。そこで「爪模様はハンガリアンタイプの決定的な要件なのかナ?」−と思って本文を見直しても明示的に述べた文や段落は見つかりません。(注:シラミツブシには読んでいません)
著者は、これをハンガリアンの特徴の一つとして注目していることは確かでしょう。
図1. ハンガリアンボウルの底面に彫刻された”獣爪” (Manger1998,p39)
ハンガリアンの特徴的な形態要素を改めて書きだすと、結局、次のようなことでしょうか。
1. 円筒形のボウル
2. ボウル底からステムのラインがU字型
3. ステムの端の位置がボウルトップより低い
4. ボウル底に爪模様のレリーフがある
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原著で各章のタイトルは
『ウルムの丸太』
『ハンガリー風ボウル』 と続き、3番目が
『別の美しい形』(Die Herstellung anderer schoner Pfeifenformen in Ulm) としてある。
ウルムパイプを大きくは三つに分類したいのかと思わせる構成ですが、真意は不明。
この章には、次のようなパイプが展示されています(紹介順は原著と変えました)。
図2.(Manger1998,p43)
ステム角度が開いている。そのほか、ボウルが多角柱状、
蓋や取っ手に意匠を凝らしていることなどが特徴。
図3.(Manger1998,p44)
図2よりも後の時期に作られて、装飾が一段と凝ったものに。
図4.(Manger1998,p42)
ボウルとステムがV字形をなして連続、ボウル下方にアゴ・あし付き。
磁器パイプのスタイルによく似ている。
ハンガリアンとウルムクローベンのツインタイプ
写真5.
左はハンガリアン(Liebaert&Maya,1994,p52)、右はウルム(Manger1998,p113)
現代スイス版
写真6. スイスでは現在も作っているそうです (Liebaert&Maya,1994,p52)
これなら使えそうなので通販ショップを探していますが、未発見(笑)
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ステムとL字型に連絡しているパイプボウルは
トルコギセル(chibouqueチブーク,orシブーク)の形の影響を受けている−
との見解があるようです(Aダンヒルのパイプブック13章)。
下の写真は、”やすらぎのオーストリア”(pp90-91,たばこと塩の博物館)から転載しました。L字かV字かは、微妙なところですが・・・(笑)
図5. チブークChibouque形のパイプボウル
なんとなく19世紀の作かと予想したところ、実際は18世紀中ごろ。
想定が100年ズレました(笑)。